先週末、フランス北部の街で開催された日本文化紹介イベントで、オンラインレッスンの受講生のMito様が浴衣着付けのデモンストレーションをされました。
着物の格の違いや浴衣や羽織の説明のプレゼン資料を作成し、さらにフランス語で説明しながらモデルさんに着付けをし、質疑応答まで受ける、という盛りだくさんなステージ。
終わる頃には会場が満席となり、モデルさんと2人で全部やり切りったそうです。
Mito様はフランスに10年住んでいるとはいえ、フランス語で着物や浴衣に関することを短い時間でプレゼンするのはカンタンなことではなかったと思います。
本当におつかれさまでした!
ご報告で聞いた現地の方からの質問とMito様の回答がとても良かったので、みなさんにもシェアしますね。
まずは
「着物だけれど、なぜ浴衣だけ違う言い方をするの?」
これは日本人でも一瞬「ん?」となりそうですね。
「着物は総称なので、それぞれの着物、着方には名前があるんですよ」
そうなんです。
着物という大きなくくりの中に、夏に着る浴衣や若いお嬢さん用の振袖など様々な名称の着物があります。
とは言え、日常ではなんとなく「着物」と「浴衣」という区分けで話している節もありますね。
次の方は日本にご旅行に行ったことがあると思われる方からの質問。
「旅館に行った時、浴衣はあったけど、こんな綺麗なものではなくすごくシンプルで、帯も違ったのはなぜ?」
お出かけ着の浴衣と温泉浴衣、どちらも湯上りに着る服とういう点でルーツは一緒ですが、今は外出用とくつろぎ用で用途が違います。だから、見た目が随分異なっています。
Mito様の素晴らしい回答はコチラ↓
「最近は夏なら可愛い浴衣の貸し出しもしている旅館もあるので、聞いてみてください!
また、(旅館の)簡単な浴衣は、旅館内でくつろげるように男女とも気軽に着られるような浴衣が用意されています」
次に私が「確かに!」と思った質問は
「浴衣は黒色があるの?」
ありますが無地のブラック着物はほとんど見かけないですよね。
あくまで私の私見ですが、涼し気に見せたい夏に黒一色は見た目も暑いかな…と。
それに、黒はどうしてもフォーマルな印象、特に真っ黒は喪服のイメージになりがちです。
Mito様の
「あるけれど黒のデザインはほとんど見かけない。あっても濃紺が多いかな」
は実に正解です。
しかも、その流れで
「インディゴ(藍)は虫が嫌う素材で、昔は紺色の浴衣が多かった」
という説明も良いですね!!
ついでに言うと、藍染めは耐火性も高まると言われ、戦国武将の甲冑の下着や、蒸気機関車の乗務員の制服にも使われたそうですよ。
また今回は着付けのデモンストレーションだったので
「一人でも着られるの?」
という質問もありました。
「練習は必要だけど、YouTube みながらもできますよ!ただ上前を間違わないでね!」
とご説明してくださいました。
どうやら女性と男性で襟の重ねる向きが違うとか、そんな都市伝説が流布しているそうで…
今回も私から事前に
「着物の襟は男女共に常に左が上(外側)ということは絶対伝えて!」
とお願いしていました。
その他
「着物の起源はなんなの?」
とマニアックな質問もあったそうで。
興味の深さがすごいですね。
あなたならどのように説明しますか?
この説明も卒なく素晴らしいかったです。↓
「多くの文化は中国からきていますが、日本人の様式に合わせて形も変わり現代のような着物のスタイルになりました」
700年前後に描かれた高松塚古墳の壁画は右襟が前になっていますがこの数年後の718年には法律で左襟が前になります(国営飛鳥記念公園のHPよりお借りしました)
このようにフランス人の皆さんの質問がかなり突っ込んだ内容で、私も良い意味でびっくりしました。
と同時にうれしく思いました。
当日は日本の食べ物やアニメ、刺青(なんと人気だそうです)、羽織や雑貨の販売などのブースが並び、インスタのストーリーズで拝見した会場の様子は大盛況でした。
先日茶道の先生が
「今日本が世界に誇れるものは、文化の力です!」
と力説されていましたが、その通りだなと深く賛同しています。
日本に住んでいる私たちも、改めて日本文化を教養として知り嗜む機会があっても良いのではないか?と強く考えています。
来年この想いを形にしてリリースする予定なので、お楽しみに!
海外とのオンラインレッスンは今回初めてでしたが、私も新たな視点も得て充実した時間でした。
Mito様ありがとうございました。
海外から受講される場合のオンラインレッスンは,通常レッスン開始時間の枠ではなく、時差を考慮しながら開講時間とレッスン内容を決定します。
「こんなレッスンできますか?」などホームページよりお気軽にお問合せください。
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